学校法務Q&A

校納金等の不払い

【Q】 私は学校法人の職員です。今年から新たに総務部に配属されたばかりです。私の理解では、授業料等の校納金の支払義務は学生・生徒本人ではなく、当然に保護者が負っているのだと思っていましたが、総務部の先輩職員から、「在学契約」という学校法人との契約関係の当事者は、保護者ではなく学生・生徒本人と考えるのが一般的な考え方であるといわれて良くわからなくなりました。学校法人と学生・生徒本人、保護者の法的な契約関係はどのように理解すれば良いのでしょうか。

【A】 次のように理解すると良いでしょう。

学校設置者である学校法人と学生等との間の在学契約に基づいて、学校法人は、学生等に対して教育サービスを提供し施設を利用させるなどの義務を負い、学生等は、学校法人に対して、学則等を遵守する義務を負うとともに、授業料等の校納金を支払う義務を負います。

学生の入学時に、学生等とともに保護者が署名・捺印をする書面において、学生等が支払うべき授業料等の校納金支払債務について保護者が連帯保証をする条項が盛り込まれており、この書面による約束によって保護者が連帯保証人として支払義務を負うことになるのです。

(1)学校法人と学生等との在学契約

学校設置者である学校法人と学生等との間の契約関係は、在学契約と捉えるのが一般的な考え方で、裁判例でもそのように考えるのが大勢です。在学契約に基づいて、学校法人は、学生等に対して教育サービスを提供し施設を利用させるなどの義務を負います。学生等は、学校法人に対して、学則等を遵守する義務を負うとともに、授業料等の校納金を支払う義務を負います。

(2)校納金等支払義務についての保護者との連帯保証契約

学生等は、在学契約に基づいて、学校法人から教育サービスの提供を受けるなどする代わりに、授業料等の校納金を支払う義務を負っています。しかし、通常、学生等自身には、校納金を支払うだけの資力がないことが多く、奨学金を利用している場合を除くと、実際には、保護者が支払っていることがほとんどです。

このため、保護者が授業料等の校納金を支払うのは当然のようにも思われますが、その法的根拠は何かと問われたらみなさんはすぐにお答えになれるでしょうか。

学校法人では、学生の入学時に、書面の題名は誓約書など様々ですが、学生等とともに保護者が署名・捺印をする書面において、学生等が支払うべき授業料等の校納金支払債務について保護者が連帯保証をする条項が盛り込まれており、この書面による約束によって保護者が連帯保証人として支払義務を負うことになるのです。この書面は、保護者が授業料等の校納金を支払う義務を負う法的根拠となる重要な書面ですので、不備がないように念入りに検証しておく必要があります。

入学時に学生等及び保護者に提出してもらう書面の規定内容については、是非、弁護士に厳密にチェックしてもらい、改善すべき点があれば修正しておくことをお勧めします。

万が一、保護者から連帯保証契約の内容をもつ書面の差し入れを受けていないという場合、在学契約は学校法人と学生等との間に生じるに過ぎないので、保護者に対しては、学校法人が授業料等の校納金の支払請求をする法的根拠が存在しないという不都合な結果になりかねませんので、早急に保護者との間で、書面で連帯保証契約を締結しておく必要があります。

以上